札幌駅から徒歩5分。蔵元直営の立ち飲みバーで、日本酒をくいっ

text/ 原大介(ユアンワークス) photo/TH&R

見知らぬ街を訪れる楽しみの一つに、その土地のお酒をいただくということがあります。お酒好きならなおのことたまらないですよね。

普段お酒を飲まない人も、食事と一緒に薦められたら「それもいいなぁ」「旅の醍醐味だな」「ちょっと一口」なんて具合に、飲んでみることもあるのではないでしょうか?

ほろ酔い気分で楽しくなって、これまでの旅を振り返ったり、店に流れる音楽に合わせて口ずさんでみたり。そこに現地の人との出会いなんかがあって、「まぁまぁ、飲みなよ、飲みなよ」なんてご馳走になっちゃったり。お酒というのは人と人を不思議な形でつないでくれたりもします。

 

日々進化して面白いことになってきている北海道の「日本酒」

日本のお酒といえば、日本酒。北海道にも実に15の酒蔵があります。もちろん日本最北の酒蔵があるのも北海道。増毛町にある『国稀酒造』さんです。また2017年には北海道に約20年ぶりに新しい酒蔵が誕生したと話題になりました。上川の『上川大雪酒造』さんです。いつかこちらの酒蔵さんの紹介もできたらなと思います。

北海道は元々お酒の原料になるお米がとれず、明治維新後は酒蔵がいくつもできましたが酒米は本州から買っていたようです。しかも回ってくるのはあまり質のよくないもの。昔からその地に根付いた杜氏さん(お酒の作り手さん)もおらず、本州から出稼ぎ気分で杜氏さんがやってきていたと聞いたこともあります。そのため「北海道の日本酒は美味しくない」というのが常識でした。

しかしここ最近はずいぶん様子が変わってきています。蔵元さんの努力もそうですが、なんといってもやはり品種改良によって、日本酒用のお米である「酒造好適米」がとれるようになったことが大きいようです。北海道の「日本酒シーン」はいまかなり盛り上がっているんですよ。

と前置きが長くなりました。

 

 酒好きにはたまらない「珍味」を、スペインの旅人にすすめてみた

今回紹介するのは『鶴の蔵』さん。札幌にある酒蔵『千歳鶴』直営のスタンディングバー。しかも札幌駅から歩いて約5分というアクセスの良さ。『ten to ten sapporo station』からも気軽に向かうことができます。

『ザ★ザンギ酒場Choi』さんに行った後、『ten to ten sapporo station』に泊っているスペインからの旅行者ギジェ君、ten to tenのスタッフと向かったのがこちらでした。

お店の前で。日本の武道をモチーフにしたオリジナルのカードゲームを作っているという話をギジェ君がしてくれています。

 

お店はこんな佇まい。まわりはオフィス街。ビルの谷間にあります。こんなところに蔵元直営の立ち飲みバーがあるなんて、なかなか気づきません。

 

店内。金曜日の夜ということもありサラリーマンで賑わっていました。日本の居酒屋でスタンダードになっている「お通し」はなくてノーチャージ。

 

なかなか渋いメニューが並びます。これぞ日本の居酒屋!という感じ。ニシンのスティックや、生ラムジンギスカン、つぶの食べ比べなど北海道らしいメニューもたくさん!個人的には赤ウインナーにひかれちゃいます。でも日本酒には合わないか。

 

こちらの黒板にもメニュー。出汁巻玉子とか、あん肝とか、スペインにはないんだろうなー。ギジェ君には何をたべてもらおう…。

 

いろんな缶詰も置いてました。ささっと飲んでささっと次へ行きたい、そんなときには缶詰もいいかも。

 

さすが蔵元直営。『千歳鶴』の日本酒が各種揃っています。いろいろ飲みたくなって困っちゃいます。

 

こちら店長の三浦さん。めっちゃ明るくて気さく。テキパキ動いている様子が素敵です。お酒を注ぐ振る舞いも美しい。

 

さぁ、注文したお酒が揃いましたよ。今夜2軒目。みんなで乾杯!!

 

メニューに迷っていたギジェ君におすすめしたのが、こちらの「飲み比べセット」。さすがは蔵元直営って感じですよね。飲み比べてみて「全部味が違う」とギジェ君は言ってましたが、本醸造酒と純米酒、吟醸酒がどう違うのか説明できなくてもどかしい…。

 

おつまみに悩むギジェ君。というか、何がいいかよく分からないよね(笑) たたみいわしとか、エイヒレとか、酒盗とか、渋いメニューが多くて僕らも全然説明できない…。とりあえず「さんまの燻製」だけなんとか伝えられました。smoked fish!

 

いよいよ登場!! くせが強い3種の珍味

結局ギジェ君におすすめしたのが、珍味の3種盛り。攻めました(笑) 手前から沖漬け、ほや、めふん。ほやとかめふんとか日本に生まれて42年経つけお僕もたべたことないっちゅうねん!(笑) ギジェ君が食べた瞬間「うぇ」とならないかちょっと心配。

 

ちなみにそれぞれの説明は以下の通り。

◇沖漬け…イカや魚を醤油に数時間~数日漬け込んだもの。日本酒を加えて煮立てたものや、それに唐辛子を入れたものを漬け汁にすることが多い

◇ほや…貝でもなく、魚でもない説明が難しいたべもの。分類的には脊索動物になるらしい。東北地方にある宮城県の名産。色は鮮やかなオレンジ色で、5つの味覚を感じられて「海のパイナップル」とも呼ばれている(味は全くパイナップルではない)。

◇めふん…オスの鮭の中骨に沿って付いている腎臓を使って作る塩辛。北海道の地方料理。とろりとしている

 

僕らの注目を浴びながら、恐る恐るほやを口に運ぶギジェ君。なんとか食べれたみたい。微妙な表情だけど(笑) 日本に旅で来て、ほやを食べる経験なんてなかなかできないよね。つづいて沖漬けやめふんまにも挑戦!

 

貝は英語で「シェルフィッシュ」だから、英語圏の人は貝は魚の仲間だと思っているのかなと、ふと疑問に。日本語だと貝と魚は違う言葉だけど。スペイン語ではどうなの?みたいな会話をしています。ちなみにスペイン語でも「シェルフィッシュ」のように、魚にまつわる言葉をつけて言うらしいです。

 

あなごの天ぷら。あなごも英語で説明できない。「like snake!」と言っちゃいましたが、蛇みたいなもの食べたくないですよね。美味しいんだけど。

さてさて、こんな具合に夜は更けていきました。ギジェ君も日本のディープな食文化を楽しんでくれたみたい。「普通の日本の食べ物はだいたい食べた」という人は、「酒の肴」「珍味」というジャンルにぜひ挑戦を! 後悔してもそれもまたいい経験になるはず(笑)

 

 


○店名/鶴の蔵
○電話/011-222-1200
○住所/札幌市中央区北4条西5丁目1-3 日本生命北門館ビル1F
○営業時間/16:00~23:30(L.O.23:00)、土曜は~22:30(L.O.22:00)
○休/日祝
○席/30

LOCATION

WRITER

原 大介
ライター/ディレクター

リクルートグループの制作会社で12年勤務した後、2012年に独立。現在は「北海道じゃらん」の編集・取材も担当。もう一つの仕事であるコンサル業務と合わせて、道内のあちこちを飛び回る日々。

ユアンワークス
http://yuanworks.info/