蕎麦屋でラーメンを食べるのが小樽流!!創業80年以上の「ヤマカそば」へ行ってみた

text&photo/ 原大介(ユアンワークス)

札幌、函館、旭川、釧路など、その土地独特のラーメンの文化が花開いている北海道。

各地域の味の違いが分かるほどにラーメン好きで、食べこんでいる旅行者もいるのではないでしょうか?なかにはラーメンを楽しみに各地を旅している方もいるかもしれません。「旭川についたらまず蜂谷だな」とか、「釧路で夏堀に行きたい!」といった具合に。

また幌加内や新得など蕎麦の産地がたくさんある北海道。なんと全国の蕎麦生産量の41%は北海道なのです。郷に入れば郷に従えで、ずずずっ豪快な音をたててそばを楽しんだ旅人もいるかもしれません。更科、二八、十割などの違いまで語れてしまう強者までいそうです。

普通ラーメンはラーメン屋で食べ、そばは蕎麦屋で食べる。蕎麦屋でラーメンを食べるというヘンテコな話はほとんど聞きませんよね。

しかーし、そのヘンテコが普通なのが小樽。札幌よりも前に発展した町である小樽には、札幌より古い庶民の歴史があり、独特の食文化があるのです。

今回は、そば屋のラーメンを食べに、小樽へ行ってみました。

 

小樽から歩いて約16分。観光客がほとんどいない下町エリアへ

向かうは老舗の「ヤマカそば」。創業は大正時代。実に80年以上も前です。最近はスタイリッシュなそば屋さんや、ファーストフード店のようなそば屋さんも増えていますが、昔から地元の人が普段使いをするこういうそば屋こそ、いま訪れたいお店です。

というのもの、これはそば屋に限りませんが、昔からある街の食堂というのはどんどんなくなっているからです。その多くが後継者不足。子どもがいない場合もありますが、多くは子どもが故郷を離れて都会でサラリーマンになり、家を継がないというパターン。こういう食堂ならではの、ほっとする味や雰囲気。お店が生物なら絶滅危惧種に指定されているレベルなので、いま行くことを強くおすすめします。明日にはないかもしれません!

さて、「ヤマカそば」への行くルートはいろいろありますが、下記を参考に向かってください。ざっくり言えば、小樽駅から海の方で左手のほうです(笑)

 

 

上のMAP通り進むと、こんな風景のところに出ます。ここが最後の曲がり角。

 

錦町(Nishikimachi)という標識が信号のところについています。

 

角にある建物は「北海道信用金庫」。ここを左手に曲がって進むと…。

 

こんな感じです。道の反対側に「マルニ」という名のお店があります。

 

途中横にいくつか路地が現れます。ふらふら紛れ込んでしまいたくなりますが、気持ちを抑えて通りをまっすぐすすみましょう。

 

こんな建物を通り過ぎて…。

 

つきました!「ヤマカそば」さん。青いのれんが目印。

 

入口がふたつありますがこちら(右側)から入ります。一歩足を踏み入れるとセンサーが察知をし、大きなコンピューターの声で「いらっしゃいませ!!」と言われますが驚かないように(笑)

 

入口横の窓では、いろいろなキャラクターがお出迎えしてくれます。このゆるい感じにほっとします。

 

店内はこんな感じ。前後のテーブルとは詰まっているけど、左右のテーブルとは開いている。窮屈なんだかゆったりなんだか。熱いけど冷たい天ぷらアイスのように、2つの相反する情報で脳みそがすこし混乱します。

 

テレビの下に、週刊少年ジャンプがずらり!これが日本の正統的な食堂スタイル。子どもの頃に親に連れていってもらった食堂を思い出します。

 

奥の壁にはプロ野球チーム「北海道日本ハムファイターズ」関連のものがたくさん。

 

右手の壁には選手のサイン。お店に入る前にファイターズのタペストリーがあったのでひょっとして…と思ったのですが予想どおりでした(笑)

 

さあ、盗塁は阻止できるか??

 

左手の壁にはずらっとメニューの札。トラディショナルで正統的なそば屋のスタイル。なべやきうどんまであります。しかも650円。ラーメンを食べにきたのにおもわこちらをず頼みそうになってしまいました。

 

テーブルの上にもメニューがあります。一番シンプルなもりそばが550円。かつ丼や親子丼にも目がいってしまいますね。きっとおいしいんだろうなー。

 

注文すること約3分。お盆に乗ってラーメンが運ばれてきました!見てくださいこのシンプルなスタイル。どんどん進化して、とても手の込んだ、食べたらおもわず唸ってしまうような、そういうラーメンが増えている中、「ああ、もともとラーメンってこういう感じだったんっだろうな」と思い起こさせてくれます。汁を吸って少しのび気味にみえる麺もなんだかいとおしい。ちなみにこちらの麺は自家製麺だそうです。

レンゲで汁を救い、一口ずずっと含んでみると…。うーーーん、素朴。複雑に作りこまれたスープの対極にある、シンプルなスープ。これこれ、これが食べたかったんです。

麺も勢いよく吸い込んでみる。ずずずずず…。うん、これこれ、普通!!(笑) ラーメンって元々高いお金を払って食べるものじゃなく、ささっとお腹を満たすものだったと思うんです。年配の人から、「ラーメンが500円以上するようになったなんて、昔からすれば信じられない」という話を聞くことがありますが、きっとこれはその時代のラーメンなのでしょう。ちなみにお値段は650円ですが(笑)

さて、すこし真面目に。明治時代、小樽は北海道で採れた石炭などの物資を本州に運ぶための戦略的な港として、政府から多額の予算が投下されて開発された町。小樽にいけば仕事があるというので本州からもたくさん人が流れてきたそうです。その多くは男性で、夜や休日の気晴らしの場所としてそば屋がつくらられました。そのためそば屋が居酒屋やスナックのような機能も持ったそうです。明治期の北海道を舞台にした人気漫画『ゴールデンカムイ』でも描かれていますが、当時は売春宿も「そば屋」の看板を掲げて営業していたそう。つまり売春宿の隠れ蓑になるくらいにそば屋が多かった。

小樽にはその時代から続くお店が点在し、ここもその一つです。このお店の雰囲気や味になんだかほっとするのは、お店の空気の中に染み込んだ時間を感じるからかもしれません。

小樽のそば屋でたべるラーメンは、時代の名残を感じる味でした。

 

食後に甘いものを食べたくなったら、店の隣には洋菓子店があります。こちらもいい雰囲気!ぜひ足を運んでみてください。

 


○店名/ヤマカそば
○電話/0134-22-5280
○住所/小樽市錦町11-4
○営業時間/11:00~18:30
○休/木
○席/26

LOCATION

WRITER

原 大介
ライター/ディレクター

リクルートグループの制作会社で12年勤務した後、2012年に独立。現在は「北海道じゃらん」の編集・取材も担当。もう一つの仕事であるコンサル業務と合わせて、道内のあちこちを飛び回る日々。

ユアンワークス
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