被災から復興中のむかわ町。人の営みをよそに、今年もししゃもがやってくる!

text&photo/ 原大介(ユアンワークス)

 

2018年(平成30年)9月6日3時7分59秒。北海道胆振地方中東部を震源として地震が発生しました。観測史上、北海道で初めて震度7を記録した地震でした。

震源地にほど近いむかわ町も甚大な被害を受け、テレビでは1階がひしゃげた美容室が何度も流れていました。

9月末のある日、仕事でそのむかわ町を訪ねました。

 

毎年10月~11月は人が押し寄せる
ししゃもの町「むかわ」

新千歳空港から車で30分弱。太平洋に面する「むかわ町」はししゃもで有名な町です。

ししゃもとはキュウリウオ目キュウリウオ科に属する魚で、世界中でも北海道の太平洋沿岸の一部(鵡川から釧路まで)でしか獲れないんです。ししゃもという名はアイヌ語で、漢字で書くと「柳葉魚」となります。

実は世の中に出回っている多くは、「ケぺリン」というカナダや北欧で獲れたししゃももどきで、本物のししゃもではありません。ケぺリンの先祖はししゃもと同じなので、いわば親戚のような存在。でもこれが食べて見ると全然違うのです。数年前に生まれて初めて本物のししゃもを食べた時、「えっ、こんなにおいしいもの!?」と感動し、箸が止まらなくなったたことを覚えています。日本酒にもびったり!飲んべえにはたまりません。

ししゃもの漁期というのはとても短く、むかわでは10月頭~11月まで。ちょど昨日(10月4日)、テレビでもむかわのししゃも漁が始まったとニュースが流れていました。この時期はこの小さな町にたくさんの観光客が押し寄せて、大変な賑わいになります。毎年この時期を楽しみにしているひとも多くいます。

なぜ漁期に合わせて人が来るのかと言うと、この時期にしか食べられないものがあるからというのも大きな理由。それは捕れたてのししゃもを使ったししゃも寿司。これが大人気なのです。

※訪問した日は漁がはじまる1週間前だったため、ししゃも寿司の写真は残念ながら撮れませんでした。グーグル先生が写真をお持ちです(笑)

 

ししゃも寿司を考案したのは「大豊寿司」の先代である前川さん。かつてししゃもは「猫またぎ」とよばれるほど地元のどこの家の軒にもほしてあったそう。食べ方も焼くか甘露煮ぐらい。実はししゃもは独特の匂いがあり、地元では生で食べる習慣がなかったのですが、「旬を感じるには生で食べるのがいい」ということで、仲間と研究会を作り生臭さを消す調理法を試行錯誤。

1983年に「一村一品」という国を挙げての特産品開発が政策として行われましたが、この時むかわ町では松川さんがししゃも寿司を考案。調理法のノウハウも地域の飲食店に広く伝授して、町の名物に育て上げたのでした。干したししゃもは冷凍してそのあと長く食べられても、生で食べられるのはこの短い漁期の間だけ。わざわざむかわにまで足を運ぶ理由を作りあげるなんて、前川さんすごい!!

 

被災地の暮らしを応援したい人は、現地を訪れよう

 

 

地震により、むかわ町は大きな被害を受けました。飲食店が集まる目抜き通りの被害が特に大きかったそう。片付けの作業をしている方もいらっしゃったので、写真を撮るのを遠慮しましたが、1階がそのままぐしゃりと押しつぶされて、2階が1階になったような家やお店がいくつもありました。一本道を奥に入ったところにもこのように傾いた建物が点在しました。

しかし、多くの飲食店さんはすでに営業を再開し、町の人やボランティアで訪れる人に、美味しい食事を提供しています。

この時ししゃもの漁期はすぐ間近。捕れる年と捕れない年にサイクルのあるししゃもですが今年は取れそうな気配がすると、飲食店の方は言っていました。でも今年は震災があったから、観光客の人はあまり来てくれないのでは…。とも。

僕は思いました。被災地を応援するいろいろな方法があるけれど、こういう時だからこそ訪れて、地域の経済が回る手助けをすべきだと(マナーとか配慮とか、そういうのは必要ですが)。

外から人が来てくれて、まちに賑わいがでて、それで元気がでてくる方もいるはずです。むかわのお店の人は僕らを待っています(となりの安平や厚真も似たような状況かと思います)。

 

9月24DMなどに日現在の、簡単なむかわレポート

むかわに行ったら訪れたい場所を紹介します(いずれも営業しています)。

こちらは物産直売所のぽぽんた市場。野菜、魚、米、乳製品など、むかわ町の海のもの山のものがここに集まります。場所は役場から道を隔てた反対側。広い駐車場もあります。

 

なんんと試食として、プレートでししゃもを焼いてまるまる一匹を振る舞ってました。気前の良さにびっくり!!

 

建物の中には食事処もあり、お手頃な値段で定食やカレーなどを提供しています。ししゃものフライや焼きししゃももあり。店主の本業は漁師だそうで、土日のみの営業です。

 

刺身定食600円。刺身は、松川カレイ、ヒラメ、ふくらぎ。シンプルでしたが、むかわ産のお米がめちゃくちゃおいしく(ななつぼしだったかな?)、ばくばくとかきこむように食べてしまいました。

 

こんな感じで干したししゃもも売っています。

 

こちらはお食事処。『自然喰処 灯泉房(とうせんぼう』さんです。ししゃも寿司だけでなく、鵡川和牛のステーキや、むかわで育った地鶏のたまごを使玉子とじなど、むかわの地のもの・旬のものが味わえます。一階だけなんとか片づけてお客さんを迎えいれられるようにしていますが、2階はまだ手つかずでぐちゃぐちゃっだと言っていました。

 

むかわを代表するししゃも屋『カネダイ大野商店』さん。大正12年創業。10月にししゃも漁が解禁になると、店の前ではすだれ干しが行なわれ、その様子は圧巻!!。町の風物詩になっていて一見の価値ありです。ネットショップで通信販売もやっているので、お取り寄せも可能です。漁期の間だけ、ししゃも寿司を含む『ししゃもづくし5品盛』が登場します。

 

道の駅「四季の館」は復興の拠点に。売店はオープン!

本来は宿泊施設や温泉施設もあるのですが、9月24日時点ではそちらはまだ営業をしていませんでした。自衛隊災害班の人の本部も設置され、避難所にもなっており、炊き出しなども行われていましたが、売店はオープンしていました。

 

震災に関する情報がいろいろと掲示されています。

 

その隣では、観光地でおなじみの顔出しボードが置かれていました。ししゃもねこ…。かわいい!さすがししゃもの街。しかし、なぜねこなのか…(笑)

 

ししゃもねこグッズがたくさん!カラフルで欲しくなるかも…

 

ししゃも猫のちいさなぬいぐるるみも。こちらは胴体があまり長くありません。

 

むかわとれたお米を使ってつくられた、お米のお酒「どぶろく」です。地元の名産品を使ったお土産物が他にもたくさんありました。

 

こちらは道の駅オリジナルの「たんぽぽサイダー」。河川敷にある「鵡川たんぽぽ公園」は季節になると一面が黄色いたんぽぽの花で埋め尽くされるそうです。

 

敷地のとなりの空き地では、自衛隊復興班の人たちのテントが設営されておりました。

 

道の駅の売店とぽぽんた市場で買ってきた、むかわ町のお土産。おかき、そば、あぶりシシャモ、チーズ。

 

寄付をはじめ、被災地の応援の仕方はいろいろありますが、その土地へ行きお金を落とす、地域の経済が回るお手伝いをする、そういう応援の仕方もあるなと思いました。なんといっても人がわいわい来てくれて、まちに賑わいが戻るというのは、地元の人にとっても元気をもらえると思うのです。

人の事情はお構いなしに今年もししゃもややってきます。漁期はわずか2か月。札幌からも少し足を伸ばせば全然いけてしまいます。この季節限定のおいしいししゃも寿司をたべに、ぜひむかわへ訪れてみてください。

 

札幌からむかわ町への向かい方

札幌からむかわ町へ行くならバスか電車。ただ電車はいま間引き運転が行われていたり、一部区間が徐行になっていて時間がかかってしまいます。行くならバスがおすすめ。

 

【バスでのむかわ町への行き方】

◇バス名:高速ペガサス(浦河行き)

◇乗り場:札幌駅前バスターミナル
※高速バスへの乗り方はこちらから
※降り場は「道の駅 四季の館」

◇所要時間:約1時間40分

◇予約有無:要予約 (0146)42-1231
※自分で予約をするのは大変なので、宿の人に相談しましょう。

◇運賃:1730円(片道)

◇時刻表
08:10 → 09:45
10:00 → 11:35
12:20 → 13:55
14:20 → 15:55
15:40 → 17:15
17:00 → 18:35
18:20 → 19:55

 

 


【大豊寿司】
○所在地/北海道勇払郡むかわ町文京町1の8
○TEL/0145-42-5222
〇営業時間/10:00~21:00
〇定休日/月(祝の場合は翌日)
〇席/50
〇P/30台

 

【ぽぽんた市場】
○所在地/北海道勇払郡むかわ町松風3の1
○TEL/0145-42-2133
〇営業時間/10:00~17:00
〇定休日/年末年始 ※食堂は月~金。週末のみ営業
〇P/75台(無料)

 

【自然喰処 灯泉房(とうせんぼう)】
○所在地/北海道勇払郡むかわ町末広1丁目70の2
○TEL/0145-42-5417
〇営業時間/11:00~14:00、17:00~22:00
〇定休日/水
〇席/40
〇P/7台

 

【カネダイ大野商店】
○所在地/北海道勇払郡むかわ町美幸2丁目42
○TEL/0145-42-2468
〇営業時間/9:00~17:00
〇定休日/無(1月~4月は日)
〇席/120
〇P/30台

 

【道の駅 むかわ四季の館)】
○所在地/北海道勇払郡むかわ町美幸3丁目3の1
○TEL/0145-42-4171
〇営業時間/8:00~21:00(売店)
〇定休日/不定
〇P/有(無料)

LOCATION

WRITER

原 大介
ライター/ディレクター

リクルートグループの制作会社で12年勤務した後、2012年に独立。現在は「北海道じゃらん」の編集・取材も担当。もう一つの仕事であるコンサル業務と合わせて、道内のあちこちを飛び回る日々。

ユアンワークス
http://yuanworks.info/