苫小牧中心部から車で約30分の「樽前ガロー」!樽前山から流れた水が作り出す緑の渓谷!

text&photo/高井 智啓 (会社員/ブロガー:Driving Hokkaido.com)

札幌市から南へ約80kmの距離にある「苫小牧市」
2018年には人口が17万人を超え、札幌・旭川・函館に続く4番目の規模となった北海道の大都市の1つです。樽前山のふもとに広がり、王子製紙などに代表される製紙業を主力として発展した町ですが、現在では自動車業、製造業などの様々な企業が立地している北海道の一大工業地域でもあります。

そんな北海道の工業都市「苫小牧市」ですが、中心部から少し離れるだけで素晴らしい自然と出会うことができます。ラムサール条約の登録湿地でもある「ウトナイ湖」や、美しいガーデニングを楽しむことのできる有料施設「イコロの森」などがその代表例。数ある施設の中から今回は、苫小牧市北部にある山「樽前山」から流れ出る水が作りあげた美しい渓谷「樽前ガロー」をご紹介していきます。

 

「樽前ガロー」とは?

樽前ガローは、1667年に樽前山が噴火した際の火砕流堆積物が侵食されてできた渓谷。川の両側の高さ約5~6mほどの岩壁にはビッシリとコケが生えていて、新緑の時期には幻想的な風景を作り出すことで知られている場所です。なお「ガロー」とは「両岸が絶壁になっているところ」という意味で、東北地方の方言なのだそうです。

樽前ガローの入り口にある「たるまえガロウきょう」の上から渓谷を眺めてみると、その全景がとてもよく分かります。切り立った崖の下にはキレイな川が流れていて、両側の岩盤に茂るコケも確認することができました。これだけでも豊かな自然が作りだしたキレイな景色なのは変わりありませんが、樽前ガローが一番キレイに見えるのはコケの生い茂る夏の時期。今回は夏の樽前ガローと、春の樽前ガローを比較してご紹介していこうと思います。

 

コケの生え方で全く違う景色に!

春の樽前ガロー。
コケは生えているけれどまばらで、くすんだ色のものが多い。全体的に白っぽく見える。

夏の樽前ガロー。
コケが緑に色づいて、周囲の緑ととても調和した雰囲気。全体的に淡い緑がかかった様に見える。

 

上の写真が、春と夏の樽前ガローの写真。
パッと見比べてみるだけで全然雰囲気が違うことが分かると思います。春の時点でもコケが岩盤一面に生えてはいますが、まだ薄っすらとした緑色です。そのコケが夏に深い緑色に変わってくると、景色が全く変わって見えてきます。更に木洩れ日が差し込むと、周囲の岩盤まで緑色に。心なしか川の中まで緑色に見えてきませんか?

 

春の樽前ガローの様子

まずご紹介するのは、春の樽前ガロー。

前述のとおり、両岸が切り立った崖となっているのですが、少なくとも2ヶ所崖下に下りることができるルートがあります。樽前ガローを100%楽しむには、崖下へ降りることは必須。崖の上と下では写真映えも雲泥の差です。ただしルートといってもキチンと整備された道ではなく、中には崖を下っていく様な急な坂道もあります。一部には滑落防止用のロープが張られている場所もあるくらいです。とても危険なので、崖下に下りる際には十分に注意して下さい。

 

無事に崖を下り川のすぐそばまで近づくと、四方をコケの生えた岸壁で囲まれた清々しい空間が広がっています。聞こえてくる音は川のせせらぎだけ。橋の上からでは感じることのできない神秘的な光景です。この場所を言葉で表現するのも難しいのですが、「緑のカーテン」「緑のトンネル」などのワードがしっくりくる空間でした。

 

岩肌に茂るコケは緑色にはなっていますが、まだ薄っすらとしたもの。
初めて樽前ガローの景色を見る分にはこれだけでも十分にキレイなのですが、本当に樽前ガローの風景がキレイに見えるのは新緑の時期である6月下旬~8月頃。同じ場所でも雰囲気がまるっきり変わります。次は夏の樽前ガローをご紹介します。

 

夏の樽前ガローの様子

こちらが夏の樽前ガロー。

春の写真と比較すると、色合いや川に差し込む光の加減などが全く違うことがよくわかると思います。コケがキレイな緑色に育つ6月下旬~8月頃には、川の岩盤の両側や周りの岩の表面にエビゴケなど60種類ほどのコケが生い茂り、正に緑のトンネルの中を歩いているかの様な雰囲気を味わうことができます。

 

また樽前ガローはこのキレイな風景から、撮影スポットとして人気の場所でもあります。この日もウェーダーをはいて川の中を上流へ進んでいく方がいました。手に握っていたのはもちろんカメラ。わたしの様なにわかカメラマンとはやることが違います‥。なお、川の中は場所によっては深いところもある様です。川に入る際には注意をはらい、また増水時や流れが速いときは川に入らない様にしましょう。

 

とてもキレイなコケの様子。
岩盤にはたくさんのコケが生えていて、すぐ目の前でコケを観察したり、実際に触れてみたりすることもできます。よ~く眺めてみると、色々な種類のコケが生えていることが分かります。普段なかなかじっくりとみる機会も少ないと思いますので、立ち止まって眺めてみるのも面白いかも知れません。なお貴重な景観を守るため、コケを踏み荒らしたり、むしったりするようなことは厳禁です。

 

樽前ガロー散策路沿いの注意看板。景観を守るための注意喚起と、滑落への注意喚起が記載されていました。

たるまえガローきょう手前にある案内看板。散策する前に一読しておくと、より楽しむことができると思います。

樽前ガローは樽前山のふもとにあり、周囲には山林が広がっています。もちろん「ヒグマ」を含む野生動物のすみかでもありますので、十分に注意して下さい。またヒグマの活動が活発になると言われる朝・夕方の入林はさけた方が無難です。

 

札幌から樽前ガローに向かうには?

札幌駅から「樽前ガロー」へ向かうには、車で約1時間半ほどかかります。「札幌北IC」から高速道路に乗り、道央自動車道を南下。「苫小牧西IC」で下車し「国道36号線」を目指します。国道36号線を少し「白老・室蘭方面」へ進むと、右側に樽前ガローの看板が見えますので、右折して踏切を越えて下さい。そのまま道なりに進むと再度案内看板が出てきますので、看板にしたがって進むと樽前ガローに到着します。

 

国道36号線沿いの案内看板。

 

樽前ガローの入口にある案内看板。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?
自然豊かな北海道には数多くの観光スポットがありますが、ここまでキレイなコケを楽しむことのできるスポットは他にありません(2018年現在、千歳市にある「苔の洞門」は崖崩れのため閉鎖中です)。道央の苫小牧市にあり比較的行きやすい場所でもあるので、興味を持たれた方がいれば思い切って行ってみることをおススメします!


【樽前ガロー】
〇住所/苫小牧市字樽前

LOCATION

WRITER

高井 智啓
会社員/ブロガー

全道をドライブすること15年強、不動産業に従事するサラリーマンブロガー。道内173/179市町村を走破。許容走行距離は約700Km/日まで。自ら撮った写真を使ったブログを約10年執筆中。

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