Beer is Art! 北の国のクラフトビールづくり

Text & Photo /土居奈津美

旅先での醍醐味のひとつとして、「その土地ならではのお酒を楽しむこと」と答える旅人は多いのではないでしょうか。

「おすすめのお酒は何ですか?」

そんな問いからお店の人や、隣の旅人・常連さんとの会話がはじまることも。

日々の生活はもちろんのこと、とっておきの旅にも華を添えるお酒。そんなお酒をつくる方たち。今回は、北海道は江別に工場をもつ「NORTH ISLAND BEER」さんのご紹介です。

その名の通り「北の島のビール」。この地に生まれたクラフトビールは、ぜひ飲んで帰ってほしい。

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<クラフトビールとは?>

日本のビールメーカーと言えば、アサヒ、キリン、サントリー、そしてサッポロの大手四社が挙げられますが、20年ほど前に、酒税法の改正によって日本各地に小規模のビールメーカーが誕生しました。急激な誕生の一方で、「地ビール=美味しくない 、高い」といったイメージを消費者に植えつけてしまう製品もありました。しかし、10年ほど前から”クラフトビール”がブームを迎えます。ビールの原料である麦芽は外国からの輸入に頼らざるを得ないのが日本の現状ですが、それぞれのブルワリーが味、クオリティにこだわってビールを製造することとなります。

 

「CRAFTという単語にあらわれるように、クラフトビールは”工芸品”であり、商業とアートの中間です。職人が手間暇かけて、想いを込めて、クラフト的な作り方をするようになったんです。」とNORTH ISLAND BEERの醸造責任者である多賀谷さん。

今注目のクラフトビール。NORTH ISLAND BEERは北海道のクラフトビールの先駆けとして2002年に創業し、北海道を代表するブルワリーとして成長してきました。

<NORTH ISLAND BEER>

札幌市のお隣、江別市のとある市場跡。ここにNORTH ISLAND BEERの工場があります。

こちらの工場ではレギュラービールとして6種類のクラフトビールを常時製造しています。

ピルスナー・ブラウンエール・ヴァイツェン・スタウト・インディアペールエール(IPA)・コリアンダーブラック

江別に工場があるNORTH ISLAND BEERならではの商品として、ヴァイツェンが挙げられます。ここ江別市は、北海道有数の「小麦」の産地です。江別産「ハルユタカ」という小麦を使用したヴァイツェンは、フルーティーさを楽しめる爽やかなビール。クラフトビールの味に慣れていない人でも飲みやすい口当たりです。

これらの6種類に加えて、さらに「限定ビール」があります。
クリスマス限定ビール『Cinnamon Ale』や、年末年始に合わせたWheat Aleその名も『鏡餅I.W.A』。小麦の白さとホップ由来の柑橘香でミカンを表現したちょっとHazyなビールです。レッドラガーの『紅潮』など。ユニークなコンセプトをもとにした多種多様なビールが期間限定でお目見えします。(詳しくはこちらhttp://tedubaku.blog51.fc2.com/

 

今回工場を案内してくださったのは、NORTH ISLAND BEER創業者のおひとりである醸造責任者の多賀谷さん。大学時代からのビール好きが高じて、クラフトビールづくりの世界に関わることとなりました。

一つの会社としてビールを作るということ、北海道のクラフトビール文化の醸成を目指す意気込みをうかがう中で、ビール作りが好きでたまらない、そんな想いを感じました。]

 

<NORTH ISLAND BEERの歩み>

多賀谷さんは、学生時代の友人である堤野さん(現:忽布古丹(ホップコタン)醸造代表)とともにビールにはまり、ひょんなことから仕事の一環として、カナダでビールづくりを勉強する機会を得ます。カナダには驚くほどのクラフトビールの種類があり、いくら飲んでも飲み飽きない奥深さ。そこからビールにのめりこむように。帰国後、会社の経営を志していた今の社長、坂口さんと出会います。経営をしたかった青年実業家と、ビールを作りたかった人間が出会い、想いが一致したことで、企業として本格的にビールづくりを行うことに。初めは札幌市東区の、小さな軟石の倉庫を改装して、小規模な設備でビールを作りながら、夜にはビアバーとしてビールを提供していました。

創業当時使用していた機器。現在も限定ビールの製造に使用しています。

徐々に、小さな規模での製造では供給が追い付かなくなり、2009年の春に製造量を増やすため、ここ江別へ移転します。江別では工場のみ経営し、札幌市にはノースアイランドビールの直営店として”Beer Bar NORTH ISLAND”をオープンさせます。

 

<想い・こだわり>

NORTH ISLAND BEERは現在、多賀谷さんを含め3名の職人でビールを製造しています。

NORTH ISLAND BEERの特徴である「限定ビール」。レギュラービールに加え、その時しか飲めない限定ものとあって、ワクワクするビールです。これまで本当に様々なビールが登場していますが、この限定ビールにはNORTH ISLAND BEERとしての成長を目指す”想い”が込められています。

ビールづくりにおいて、最終的に商品として出すかどうかは、工場長である多賀谷さんが決定を下します。ですが、若い作り手の想いを尊重すること、そして技術を伝えるということをとても大事にしているそうです。

「ヴィトンを例にすると、ブランド自体は150年以上続いていますが、古臭く無いじゃないですか。それはトップデザイナーが数年おきに変わっているからなんです。常に時代に合わせて変化している”ブランド”なんです。うちも同じだと考えています。NORTH ISLAND BEERというのは企業でやっています。個人でやっているわけではないので、ブランド自体は常に生き続けています。そのためには常に若々しくないといけないと考えます。

昔からやっている人間が力を持ち続け、若い人には任せない。するとブランド自体が古くなっていき、お客さんのニーズに応えられなくなる。そうではなくて、若いスタッフがやる気を持って楽しく仕事をする中で技術を付けていくことで、ブランドもどんどん時代に合わせて成長し、変化し続けさせたいと思います。だからこそ、できるだけ若いスタッフの発案を拾います。でも、ビールとして具現化するときには、足りない点を修正していく。それが僕の技術や感性を貶めるかというと、そうではありません。僕が良いと思って、彼らを手助けしながら一緒に具現化する。これは僕の仕事の一つであって、決して僕が不在の仕事ではありません。」

写真右から、荒川さん、多賀谷さん、中村さん。

技術を伝え、若手を育てるということ。

「狭い視野でみると、僕自身はこだわりが無いように見えてしまうのかもしれませんが、それは真逆で、とてもこだわっています。厳しく品質を担保しつつ、若い感性を尊重し、ブランドを育てていく。それが僕のこだわりです。」

<北海道のクラフトビール>

札幌は200万人が住む大都市です。ですがクラフトビールはまだまだ浸透していません。つまり伸びしろがまだまだあるということ。

「意欲的なブルワリーが北海道にも増えてきています。クラフトビールを扱う専門店も生まれています。

ブルワリー同士の競争ではなくて、皆でクラフトビールを盛り上げていこう!という気持ちでやっています。」

2019年2月には北海道ビアトピアというイベントが開催されました。

ここには北海道や札幌市といった行政も助力し、一緒になって北海道にゆかりのあるクラフトビールを提供し、多くの来場者でにぎわいました。

「行政とつながりが持てたのは、かなり大きいです。札幌は大手のサッポロビールだけではなく、これからクラフトビールという波も大きく動くと思います。そこで大事なのは、ブルワリーが一丸となってクラフトビール市場のレベルを上げて行くということ。つまり、クラフトビールの文化を育てていくことなんです。クラフトビールという文化を育てていくことで、もっともっと発展していきたいですね。」

 

<これからのノースアイランドビール>

江別に移転した時から、江別市の可能性に目を付けていたそう。

多くの消費者が集まる札幌にアクセスしやすく、農業が盛ん。酪農学園大学や、バイオを研究している道立食品加工研究センターもあり、北海道の権威が集まる場でもあります。

「今後、再び移転をするとなっても、完全に江別を離れることはありません。江別産小麦のハルユタカもそうですが、江別の農業のポテンシャルはかなりあります。 小麦だけではなく、将来的には大麦、そしてホップの栽培も農家さんと協力していきたい。ビールの原材料を100%江別産で賄うということはもちろん難しいですが、地元のものを使って、地元のビールメーカーとして、地元とよりタイアップして成長していきたいです。」

 

<ビールを作るということ>

「クラフトビールってまだまだ未知のものなんです。新しいスタイルはどんどん生まれてきますし、何より自分が生み出すこともできます。いつも新鮮で、ゴールは無いんです。そんななかで、良いものができた、お客さんが美味しい、と喜んでくれる。それが一番良いんです。自分が作って自分だけが飲むのだったら続きませんね(笑)

お客さんが喜んでくれる。その時にドーパミンが出るんです。クオリティを保ちながら、楽しく作っていく、かつ、スタッフがご飯を食べれる程度に利益を上げる。それを目指しています。」

<NORTH ISLAND BEERを楽しむ>

北海道に根差したNORTH ISLAND BEER。職人が想いを込めて丁寧に作ったクラフトビールは、この土地ならではのもの。

では、そのクラフトビールを楽しむには?

札幌市中央区南2条西4丁目にある『Beer Bar NORTH ISLAND』で、こだわりの食事と一緒にビールを楽しめます。

壁一面に備え付けられたタップには、6種類のレギュラービールに加え、こだわりの限定ビールが繋がっています。

札幌の夜景を楽しみつつ。こちらは限定ビールの「バーレイワイン」。名前の通り、ワインのような味わいと豊かな香り。こんなビールもあるんだ!と驚きながらも、個人的に今でも忘れられない味です。

こちらは「江別産北あかりのポテトフライ」。分厚くてホクホクで、ビールに合う!

こだわりのクラフトビールに合うお料理!幸せを感じる瞬間ですね。

 

そして実はTen to Tenでも、オリジナルラベルのNORTH ISLAND BEERが楽しめます。ゲストハウスでも大人気のNORTH ISLAND BEER。

日本、そして世界各地からの旅人たちが、北のクラフトビールを片手に交流している様子は、とても素敵な光景です。

北海道にお越しの際は、NORTH ISLAND BEERをチェックしてみてください。

 

 


〇名前/NORTH ISLAND BEER
〇住所/江別市元町11-5
〇HP/https://northislandbeer.jp/

<NORTH ISLAND BEER直営店>

〇店名/Beer Bar NORTH ISLAND
〇住所/〒060-0062
北海道札幌市中央区南2条西4丁目10-1
ラージカントリービル 10階
〇電話/011-251-8820
〇営業時間/月~土:18:00~24:00
日 15:00~22:00
〇休/年末年始

 

LOCATION

WRITER

土居 奈津美
ライター/大学院生

女子大学院生ライター。岡山県出身、北海道満喫6年目。春は勢いのある雪解けを楽しんで、夏は麦わら帽子を持ってドライブへ。秋は美味しいものを食べ、冬は雪の綺麗さに見惚れています。