栗山町。小林酒造の「酒蔵祭り」へ。良いお酒でよーーい酔い♪

text&photo/ 原大介(ユアンワークス)

 

旅することの楽しみの一つは、その土地の食べ物やお酒を楽しむこと。これに異を唱える人はほとんどいないのではないでしょうか?

これはデータにも出ていて、観光庁が発表した2018年の訪日外国人消費動向調査では「訪日前に期待していたこと」アンケートに対し「日本のお酒を飲むこと」と答えていた人がなんと全体の24.7%! みんなお酒を楽しみにしてるんですね。

こちらの記事で紹介されているように、最近ではクラフトビールのみならず、クラフトジンやウィスキーなど各地の気候風土を活かしたお酒造りが盛んです。

が、日本酒党の僕は声を大にして言いたい。「日本に来て飲むなら、日本酒でしょ!」と。そしてここ北海道にも12の蔵が稼働しており、昔は美味しくないというイメージが強かった北海道のお酒も、いまは日進月歩で美味しくなっています。

その背景には「吟風」や「彗星」といった酒造適合米の誕生のみならず、様々な環境の環境の変化があるのですが、そのあたりはまたおいおい記事を書きたいと思います。

 

今がまさにその時なら、訪れたい酒蔵の祭り

札幌駅や大通、すすきのあたりの居酒屋さんに入って日本全国から集められた美酒に酔いしれるのも一つの楽しみ方ですが、せっかく日本まできているのだから時間があったら酒蔵まで訪れることをおすすめしたいです。小樽の田中酒造は蔵でお酒をつくっているところを見学できますし、札幌の千歳鶴ミュージアムには酒にまつわる展示コーナーや試飲カウンターもあります。1年間いつでも行くことができるので日本酒をより深く知るには一番身近な手段でしょう。

さらに! もしあなたに運があれば、日本酒の世界を楽しむ方法がもうひとつあります。それが今回紹介する蔵元のイベント。日本酒は秋に収穫した新米を使い冬に酒造りを行います。そして春の訪れとともに新酒が登場するのが一般的なのですが、そのタイミングでイベントを行う酒蔵があるのです。

4月14日(日)に、トラベラーズノートのスタッフ長谷川さん、札幌の日本酒マニアから「あの人はすごい」と畏敬の念をもってみられている『いぶしかもし酒場Choi』の女将、僕の3人で栗山町にある『小林酒造』の『酒蔵まつり』に参加をしてきました。その時の様子をレポートしちゃいます。

 

総勢50人近く。貸し切りバスで一路栗山町へ

きっかけは『いぶしかもし酒場Choi』で飲んでいた時。長谷川さんから「小林酒造のイベントへのバスツアーに知り合いから誘われてるんですけど行きます?」の一言から。毎年大型バスを手配し人を集めてこの参加しているグループがあるらしい。後で聞いたのですが今年で10回目の企画だと言っていました。主催者のYさんがパワフルかつエンターテナーかつホスピタリティに溢れていてとても素敵なバスツアーでした。

集合は8時50分。北24条のとあるビルの前。「バスの中で酒盛りしながら向かうらしいので、準備を」との長谷川さんからの事前メッセージ。量が飲めない僕は「まじか…、着く前につぶれてしまうのでは…」と警戒し、お酒の代わりに飲むヨーグルトと缶コーヒーをGETして集合場所へ。もうすでに8割くらいの人がバスに乗っており、これから始まる酔いどれの1日に期待が高まっている様子。バスが動き出すと「乾杯!」の声。かばんの中から枝豆が出てきたり完全に宴会です。

 

参加費は2000円。バスの中ではシャンプやーリンスなどを扱う会社の方から、試供品として入浴剤などが配られます。これがあとで大事件を巻き起こすことに(笑) 札幌北インターから高速に乗りいざ栗山町へ!

 

高速を降りると窓の外はこんな風景。田んぼと畑。隣に座った「初めまして」の人とも会話がはずみます。

 

到着!8時45分。これが僕らの乗ってきたバスです。「N24の愉快な仲間御一行様」と書かれてました(笑)

 

会場へと向かう長谷川さんと女将。みんな足取りが軽い。

 

数年前までは無料で試飲ができていたらしいのですが、あまりに人がたくさん来すぎたため、昨年から日本酒の試飲は有料になっています。

 

ヒメマスのいろり焼き。1串500円。北海道ならではの食材が並びます。お酒飲みながら食べたい!よだれがあふれてきます。

 

敷地内の一番奥のあたりにある広場。レンガ造りの酒蔵に囲まれています。テーブルと椅子が置かれて利用は無料!

 

我らバスツアー一行の基地はさらにその奥。さすが10回目。準備がよく、みなさんお酒だのつまみだのを持ち込んで早速酒盛りが始まりました。天気にも恵まれて最高の外飲み日和!

小林酒造は明治11年(1878年)に札幌で酒造業を開始。明治33年(1900年)に自然に恵まれた栗山町に拠点を移します。戦前の販路は満州や樺太にまで及んでいたそうです。酒蔵は国の登録有形文化財。140年の歴史を刻む建物です。

 

じゃーん!現地でチケットを入手。1000円で12枚つづり。最初に4枚使って専用お猪口と交換します。残りは8枚。

 

チケットを握りしめて蔵の一つへ。奥にショットコーナーがあり、純米大吟醸、特別純米、にごり酒など6種類の日本酒が並びます。種類によって必要なチケット枚数が異なりますので注意。1枚で飲めるものもあれば3枚使わないと飲めないお酒も。1ショットは60CC。僕が最初の一杯に選んだのは「蔵祭り限定 特別純米酒」。説明のチラシには「爽やかな柑橘系の果実香と酸味がシャープな味わいを作っています。ほのかな甘みがあり軽やか。ぐいぐい杯が進む食中酒です」と書いてあります。必要なチケットは2枚。

 

乾杯してぐいっ。うー、朝の10時過ぎから飲む酒は美味しい。長谷川さんはさっそく飲み干し、2杯目をもらいに蔵の中へ(笑)

 

外ではショットコーナーのお酒を含め、約12種類のお酒を販売しています。

 

日本酒にあうアテもたくさん。厚岸の焼き牡蠣、愛別町のジャンボきのこ汁、奥尻島のアワビ煮、古平町の甘エビの酒蒸し、北広島エーデルワイスファームこだわりのハム&ベーコンなどが並びます。お酒がすすむー!!

 

なぜか僕の故郷である静岡県の名物・黒おでんや富士宮焼きそばも。

 

僕らはバスツアー参加者が宴をしている基地へは戻らず、ショットコーナーがある蔵の前で立ったまま杯を重ねました。だってそのほうがすぐにオカワリをもらえにいけるし(笑) 気づくと人も増えてきて道の往来が激しくなっていました。中には知り合いの顔もぽつぽつ。声をかけてはしばしの立ち話し。みんな楽しそう。そうこうするうちに『いぶしかもし酒場Choi』の常連であるIさんが登場。やはり会いましたか。実は前日『いぶしかもし酒場Choi』のカウンターで偶然一緒でした。この方は日本酒が大好きなマニア。日本酒の知識も美味しく飲むことへの探求心も半端じゃないです。そんなIさんがカバンの中からごそごそと取り出したのは……。

 

外で燗をつける道具(携帯おかん器)と、温度の測定器。こんなものを持ち歩いて参加するとは。半端ないっす。やばいっす(笑) ちょっと説明をすると日本酒は冷蔵庫で冷やした状態から50度近い熱燗まで、様々な温度帯で味を楽しむことができる世界でも珍しいお酒なのです。常温の「ひや」、35℃の人肌燗、40℃のぬる燗、45℃の上燗など、約5度違いで味に変化が生まれます。一度熱燗にしたものを常温まで冷やして飲むとまた味が違うそうですよ。

 

すっかりできあがったわれら。実はこの日このは小林酒造の「酒蔵まつり」だけでなく、谷田製菓の「きびだんごまつり」、一市四町「ふるさと田舎まつり」が同時に行われており、3つの祭りを総称して「くりやま老舗まつり」と呼ばれています。他の会場も見に行くという長谷川さんに連れられ別会場へ向かうことに。会場間を回るシャトルバスがあるそうなのですがよく分からず、軽い千鳥足で向かったのでした。

 

大正2年(1913年)創業の谷田製菓。「きびだんご」が看板商品で、札幌の子供たちはこれを食べて育つそうです。家の居間によく置いてあるらしい。ハンディサイズで北海道土産にもいいかもしれません。谷田製菓さんのホームページを見ると、「北海道開拓の精神と関東大震災の復興を願い、起備団合の名称で大正12年創製発売してから今日まで自然の原料だけを使い広く道民の皆様に御愛顧いただいております。」と書いてあります。ラーメンも気になります(笑) きびだんごまつりの会場はこの裏側です。ここまで千鳥足で10分くらい。

 

もうひとつのイベント「ふるさと田舎まつり」の会場はJRくりやま駅前。千鳥足でまた10分ほど。お酒を飲みすぎていた僕が猛烈な尿意に襲われ、ぎりぎりセーフでトイレに駆け込みました。助かったー。

 

会場はこんな雰囲気で、夕張市・栗山町・由仁町・長沼町・南幌町)観光資源の発信を目的にしたフェスティバルだそうです。美味しそうなものがいっぱい並んでました。

 

駅前のメインストリートを歩きてくてくと向かった先は…。

 

こちら!北海道栗山町を象徴する『栗(くり)』、町で古くから親しまれている北海道最古の酒蔵 [小林酒造] の『蔵(くら)』を合わせた「くりとくら」というお店。元々時計屋さんだったお店をリノベーションし、カフェ&バーになっています。ゲストハウス開業も準備中とのこと。旅人にとって嬉しい拠点がまたひとつ増えそうです!

 

小林酒造のお酒を飲めるのはもちろん、大吟醸ハイボールなんてのもあります!栗山町産のじゃがいもを使ったラクレットチーズも美味しそう♪

 

1)若者でにぎわい、新しい出会いやアイディアが生まれるコミュニティ、2)栗山町の特産品が気軽に食べられる場所、3)町外にまちの情報を発信する場所を目指し、このお店をオープンしたそうです。ちなみに映っていませんが右奥のTVモニターにはプロ野球の試合が流れていました。さすがは北海道日本ハムファイターズの栗山監督が住む町。

 

僕らが食べたハヤシライス。お米は栗山産。美味しくてぺろり。酔っていたけどちゃんと味は舌に残っています。祭りに合わせて甘酒も販売していたので一緒にいただいちゃいました。今度は夜に来て地元の若者と交流してみたい。その時にゲストハウスがオープンしてれば、飲んで食べて話して、酔ったらすぐベッドという最高のシチュエーションに!

 

お腹もいっぱいになったし、帰りの集合時間が迫ってきているということで小林酒造へ戻ると、ショットコーナーのある蔵の前では女将とI井さんが先刻と変わらず立ったままでお酒を飲んでました(笑) 僕も最後の一杯。あーーーー、昼間から飲めるって改めて最高!

帰りの出発は14時。集合時間&場所に現れない人がいるハプニングがありながら、バスは札幌へ。途中に長沼町の「アイスの家」に立ち寄り、隣の直売所で大量の行者にんにくをGET。16時前には札幌へ到着。「いやーーー、楽しかったね、また来年も参加したいね」なんて言いながら一同解散!!

 

とはならず、総勢15人ほどがバスツアー参加者の方が経営している近くの飲屋さんへなだれ込みまし。2000円で飲み放題という大サービス。日本酒もずらり。みんなだいぶ酔っぱらっていて、半分お尻をだして床に寝る方や、朝のバスの中で配られた入浴剤を何と間違えたが食べちゃう人も(笑) あるいみ正しい酔っ払いです。平成も終わるこの時代に、こういう昔ながらの酒に呑まれた酔っ払いがいることがなんだかとても嬉しかったです。

と、長々レポートしてきましたが、旅人してはどうやってこういうイベントを見つけて、どうやって参加したらいいのかが気になるところですよね。一番てっとり早いのは、泊まったゲストハウスのスタッフに調べてもらうことです。「酒蔵のイベントに参加したいのですが、どこかでやっていますか?」と伝えてみるといいかと思います。あるいは確実なのは、最初にも書いた小樽の田中酒造の酒蔵見学か、札幌にある千歳鶴のミュージアム見学。

【田中酒造 本店】
〇電話/0134-23-0390
〇住所/小樽市色内3丁目2番5号
〇営業時間/9:00~18:00
〇休/なし

【千歳鶴 酒ミュージアム】
〇住所/札幌市中央区南3条東5丁目1
〇電話番号/011-221-7570
〇営業時間/10:00-18:00
〇休み/年末年始

 

日本の気候風土の中で生まれた日本酒の魅力、たくさん体験してください!!


【小林酒造】
〇電話/0123-72-1001
〇住所/夕張郡栗山町錦3丁目109
〇営業時間/10:00~17:00 ※11月~3月は~16:00
〇休/年末年始

【くりとくら】
〇電話/0123-76-7700
〇住所/夕張郡栗山町中央2-95
〇営業時間/18:00~24:00 ※土は11:30~14:00も営業
〇休/日
〇席/16
〇P/有

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WRITER

原 大介
ライター/ディレクター

リクルートグループの制作会社で12年勤務した後、2012年に独立。現在は「北海道じゃらん」の編集・取材も担当。もう一つの仕事であるコンサル業務と合わせて、道内のあちこちを飛び回る日々。

ユアンワークス
http://yuanworks.info/