
text&photo/ 原大介(ユアンワークス)
函館で過ごせる時間がわずかしかなく、近くの人に「函館でご飯食べるならどこがおすすめ?」と聞いた時、ほぼ必ず帰ってくる答えが「ラッキーピエロ」(他は、朝市の海鮮丼やしおラーメン、ハセガワストアのヤキトリ弁当あたりを勧められることが多いはず)。
函館と言えばラッキーピエロ、ラッキーピエロと言えば函館。そのくらいこの2つは結びついています。そうですね、フランスと言えばワイン、ワインと言えばフランス。大坂といえばタコ焼き、タコ焼きといえば大阪。このくらいの結びつきはあるんじゃないでしょうか?
北海道に暮らす人でも、函館に出張や旅行で行った後、「函館に行ってきたよ」と友人や同僚に言うと、「ラッキーピエロに行った?」と聞かれることもしばしばです。少し詳しい人だと「ラッピいった?」なんていいます。なんやねん、ラッピって(笑) マクドナルドを関東ではマックと言い、関西ではマクドというように、北海道の西側ではラッキーピエロをラッピといい、東側ではラッキーと言います。というのは冗談です。ラッキーとはいいません。
お店ごとに特徴がある、地元密着のチェーン店ぽくないチェーン店
ラッキーピエロとは、1987年に王一郎さんが創業。道南地区で展開するハンバーガーショップチェーンです。ホームページにある王会長のインタビューを読むと、ここまでのお店になった経緯がよく分かります。
最初はライダーさんが宿のノートにお店のことを書いたことから口コミが広がり、「なんでこんなにライダーばかり来るの??」と店の人も驚いていたそう。次第にマスコミが取り上げはじめ、観光客や地元の人に来てもらえるようになったのだとか。一店舗一店舗が個性的で、同じドリンクでも、学生の多い店と観光コースにある店では値段が違うというからびっくり。
道南地区以外への出店を断って地元に集中していること。顧客のアンケート用紙を創業者の王一郎自身が目を通して、その要望やアイデアを取り入れようとしていること。そのため、顧客の要望があったとして、ハンバーガーショップながら、カレーライスやオムライス、かつ丼などのメニューも提供するようになったことなど、wikipediaにも詳しく説明されています。
さて、僕のことでありますが、実はラッキーピエロに行ったことは、過去2回だけです。それもかなり昔。言わばほぼラッキーピエロ素人です。今回はそんなほぼ素人の目線でラッキーピエロ体験記を紹介したいと思います。
一歩足を踏み込んだその瞬間から強烈な、ラッキーピエロワールド
向かったのは、函館の繁華街&歓楽街である中町。過去2回は五稜郭タワーのすぐ近くにある大型店舗に行ったため、今回はこちらの小型店舗に突入してみました。
お店に入った瞬間、浮かぶ言葉。それは「強烈!!!」。どかーんラッキーピエロ的世界に包まれます。「研修中」という札をつけたスタッフが「いらっしゃいませーーー!」と元気な声で迎えてくれました。注文前のお客さんが3名、横のベンチに注文したあとのテイクアウト待ちのお客さんが2名。小さな店舗なのになかなかの賑わいです。
「あれ、ラッキーピエロってハンバーガ屋さんだったよね…」と一瞬混乱しそうなものが目に飛び込んできました。それが食器返却口に置いてあったこちら。立派な丼。これはなに、かつ丼か??? (なぜラッピにかつ丼?という疑問は、後にwikipediaをみて解決したのでした…)
店の雰囲気はこんな感じ。何風と言えばいいのでしょうか、僕の乏しいボキャブラリーではでてきません(笑) グスタフ・クリムトの絵画があちらこちらに飾られています。店舗ごとの個性を大切にしているので、店によってデザインはバラバラだそうです。
レジの前には、ラッピオリジナルのお土産品が所狭しと並べられてます。函館土産としても喜ばれそうそうだもんなー。商売上手ですね。この所狭し&うず高い感じ、どこかで似たようなものを知っているはずだ、と考えていましたが、そう、ドン・キホーテの量感陳列!あれと同じです。よく見るとマスキングテープまで売ってますね(笑)
Wi-Fiフリーです。その下の絵がたまりません。アンニュイの中に恍惚感がにじみ出る表情。まさしくラッキーピエロです!
年間25万個も売れているという函館NO1アイス。この女性は誰でしょうか…。「人は人の写真に反応する」という広告セオリー通りに作ってみたのでしょうか。
オードブルパティ―セットもあるんです!駐日米国大使だって来ちゃうんです!
ハッピーデイだらけ。15日が金曜日だったら、半額のフレンチフライポテトを割引の生ビールで流し込み、ゲップでみんなに「Say,Hello!」できちゃいますよ。ON AND ON TO DA BREAK DOWNてな具合にええ、行きたいっスね!
団員も募集してるんです。ボーナスピエロの配当が気になる~。
こちらがメニュー。なんとかつどんだけじゃなくて、カレーもあるじゃないですか。奥のテーブルの方を見るとカツどんを食べているひとも、カレーを食べている人もいましたよ。もはや定食屋ですね。雰囲気は全く定食屋ではないですけど。バーガーの種類も豊富。トンカツバーガー、エビチリバーガー、肉食べようバーガーなんてのも。僕はベーシックに一番人気の「チャイニーズチキンバーガーセット」を注文。
注文すると「番号札63番でお待ちください」とこちらを渡されました。テレフォンオーダーシステムっていうのがあるみたいですね。これは事前に電話予約をしておけば待たずに商品を受け取れるというシステムのようです。が、さっきからずっと店内には電話が鳴っていて、人手不足かスタッフの人が電話を取れる余裕がないようです。せっかくのテレフォンオーダーシステムがぁ…(笑)。 でもこのあたりのトホホ感も含めて楽しめちゃうのがラッキーピエロマジックではないでしょうか??
5分ほど待って出てきましたよ。チャイニーズチキンバーガーセット。どでかいハンバーガー、そしてチーズがかかったフライドポテト。存在感半端ないです!
でーん!ハンバーガーのボリュームがすごい!ゴマをまぶしたバンズの中には、オリジナルの中華風甘辛の味付けをした唐揚げがはいっています。
フライドポテト。チーズの奥にはミートソースが隠れておりました。これは反則です。ポテトと相性よすぎ。他のファーストフード店のポテトのように手では食べれません。フォークでいただきます。
- 店内はいろいろなチラシでがやがや。「青春55歳以上歓迎!」のポスターも。55歳に「青春」とつけるセンスが大好きです!
ラッキーピエロ巡りが楽しめちゃいますよ。スタンプラリーだってあります!札幌に戻ってこの話をしたら、その相手がたまたまスタンプラリーのカードを持っていました。やってるひといるんだ……とびっくり(笑)
- お店を出たところの自動販売機には、アルバイト募集の貼り紙が。ラッキーピエロさんは「人柄募集」とのこと。人はわんさかくる、電話は鳴りまくる、そんな中でも笑顔をたやさず元気に働いていたレジスタッフを見ていると、人柄を大切にしているのは確かに伝わってきました。
さぁ、どうでしたか?ミラクルワールド「ラッキーピエロ」。このコテコテ感。突っ込みどころが満載感。一度足を踏み入れたら虜になっちゃちゃいそうでしょう、行きたくなるでしょう。
なんかほんとうねぇ、ザ・ワールドですよ。でもすごくおいしかった!チャイニーズチキンバーガー。今度いったらカツ丼にチャレンジしてみます。実はちゃんとスタンプラリーのカードももらってきたので、他のお店にも行ってみようかなー(笑)
○店名/ラッキーピエロ 本町店
○電話/0138-56-4469
○住所/函館市本町4-18
○営業時間/AM10:00~PM21:00(土のみPM22:00)
○休/なし
○席/24
○P/なし
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WRITER
リクルートグループの制作会社で12年勤務した後、2012年に独立。現在は「北海道じゃらん」の編集・取材も担当。もう一つの仕事であるコンサル業務と合わせて、道内のあちこちを飛び回る日々。
ユアンワークス
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