最高に居心地の良い空間で日常を忘れてただ浸るー『時計のない喫茶店』ー

text & photo /土居奈津美

 

皆さん今日は何回時計を見ましたか?
仕事、学校、人との約束、やらなければならないこと。私たちの日常は時計をもとに進みます。
時計の歴史は古く、今から6000年ほど前にエジプトで誕生した、いやいや10,000年前に日時計が誕生した、など諸説ありますが、とりあえず想像もできないほど昔から私たちの日常に存在したものです。

便利なものですが、時たま時計によって追い詰められることもありませんか?
あと10分で仕上げなければ!明日までに終わらせないと!なんて。
「時間を忘れてぼーっとしたい」なんて思うこともあるかと。わかります。毎日お疲れ様です。
そんなあなたに今回は「時計のない喫茶店」をご紹介いたします。

「時計のない喫茶店」

最寄り駅は地下鉄南北線北18条駅。
北大沿いの大通りを南に2ブロックほど進むとお店が見えてきます。

柔らかさを感じる木のドアを開けると、そこはこじんまりとした空間。
カウンター席が6つ。テーブル席が3つ。
まず最初に「本当に時計は無いのだろうか?」と店内を見渡してしまいます。(見当たりませんでした)

木目が美しい長いカウンターの端っこに座ります。
後ろにはちぐはぐに置かれた椅子とテーブルが。
どうやって座ろうかしら?少し悩んでしまいそう。
この置き方は考えたこともありませんでした。
白いテーブルクロスと木の椅子のぬくもりが、『大草原の小さな家』に出てきそうだなあ、と思いました。テーブルの配置はたまに変えるそうです。行くたびに印象が変わることでしょう。

こちらのお店では珈琲だけでなく、お酒も取り扱っているそう。
この日は霧雨が降っていてぱっとしない気分だったので、なんとなく爽やかなイメージの「ブルンジ ブジラ・ウォッシングステーション」を注文。
きちんと言える自信がなかったので「これください」でお願いしました。
豆を挽く音がし、香りが広がり、急いた心が落ち着きます。

はい、もう一度。「ブルンジ ブジラ ウォッシングステーション」
メニューの下に「ブランドオレンジ/スムースマウスフィール」との記載があります。
珈琲の風味の表現方法だそうです。オレンジのような酸味、スムースなボディ感ということ。
知らない世界でした。奥が深いのですね。
いただいてみると、口に含んでから飲み込むまで、そして飲み込んでしばらくも独特な酸味が長く続き、重たくはないけれど存在感がある。そんな珈琲でした。(あくまで個人の感想です)
珈琲はごくごく飲むものではなく、”風味”すなわち”上品な味わい”を楽しむ飲み物です。

そう考えると集中して珈琲を飲むことって実はあまり無かったのかも、と新たな気づきを得ました。

お店には素敵なレコードとCDも沢山置いてありました。
すべて店長さんが趣味で集めていらっしゃった物。
店長さんは宮越屋珈琲で8年間働かれ、その後2017年の10月にお店をオープンしたとのこと。
毎月、店内の白い壁をスクリーンに映画の上映会を行うそうです。

今月は「ロシュフォールの恋人たち」が上映されているそうです。
詳細はお店のFacebookをご参考ください。
映画・音楽・珈琲だなんて無敵だと思います。
こちらのお店はその3つとお店の雰囲気がマッチしすぎてもう…!
とんでもなく落ち着くけれど同時にとんでもなくワクワクしてしまいます。この日はSound of Musicのレコードがかかっていました。中学校の音楽の時間に何度も観たミュージカル。懐かしいです。

~You are sixteen going on seventeen
Baby, it’s time to think
Better beware, be canny and careful
Baby, you’re on the brink~
『もうすぐ17歳』この歌は誰もがきっと口ずさめるはずです。

「時計のない喫茶店」という名前の由来は何か気になりませんか?
時間を忘れてゆっくり過ごす空間?
いえいえ。
店長さんによると「時計のない喫茶店」という曲をもとに名付けたそう。そしてもう一つ、「時計もないほどシンプルなお店にしたい」という想いが込められているそうです。たしかにこちらのお店、非常にシンプルでした。あたたかな茶色の木、清潔な白のクロス、白い壁。物がなく整頓された店内。
どうしてこんなにも美しく見えて、心が落ち着くんでしょうか。

「シンプルさ」を強調するためのお店の名前でしたが、それでも「時間を忘れてゆっくり過ごす」空間である事には変わりありません。
珈琲の風味にじっくり向き合って、素敵な音楽を聴いて、レコードの針をただ見つめる。
忙しい日常で頑張る自分へのご褒美に、そんな豊かな時間はいかがでしょうか?


【時計のない喫茶店】
〇所在地/北海道札幌市北区北17条西4丁目1-11 マンションニューエルム1F
〇営業時間/火〜木 12:00 – 22:00
金土 12:00 – 25:00
日 12:00 – 21:00
〇休/月曜日

LOCATION

WRITER

土居 奈津美
ライター/大学院生

女子大学院生ライター。岡山県出身、北海道満喫6年目。春は勢いのある雪解けを楽しんで、夏は麦わら帽子を持ってドライブへ。秋は美味しいものを食べ、冬は雪の綺麗さに見惚れています。