
text & photo / 土居奈津美
みなさん北海道大学ってどんなイメージですか?
秋になるとまっ黄色に輝くイチョウ並木は有名ですね。
テレビ番組でも北大の寮のひとつである「恵迪寮」が取り上げられました。
『動物のお医者さん』という漫画の舞台でもあります。
今回はそんな名前は聞いたことあるであろう北海道大学についてご紹介いたします!
でっかいキャンパスを気軽に楽しもう!
札幌駅から徒歩5分ほど。Ten to Ten Sappotr Stationからもほど近い北海道大学。
正門を入って1分ほど歩くと右手にひっそりと建物が立っているのが見えます。
こちらは百年記念館。こちらの一階には「北大マルシェCafé&Labo」があります。
私はここの景色が好きです。
冬にはこんな感じに様変わり。上の写真の向こう側、ベンチのあたりから撮った景色です。
また歩みを進めて、今度は左側を見ると広い芝生が広がります。
通称「中央ローン」です。
真ん中に流れるのは「サクシュコトニ川」
かつて北大植物園付近で沸き出す水を源とし、伏籠川に合流していた川です。
水源の枯渇によって雨の日しか流れない川となってしまいましたが、2004年の再生計画によって北大構内に名残りをとどめています。
夏には子どもたちが川で遊び、その様子をお母さんたちが見守っている光景をよく目にします。
秋から冬にはカラスが行水をしている様子を観察できます。
行水なのかはちょっとわかりかねますが、ゆったり飛んできて着水し、羽を震わせて水浴びをしています。
思った以上に豪快ですよ。歩いていてバシャバシャという音が聞こえたら、おそらくカラスが行水中です。
こちらの中央ローンは文字通り「憩いの場」です。
天気が良い日は木陰に寝転んで、リュックを枕に本を読んだり、テスト勉強で疲れた時はここでぼーっとしたり。お弁当を広げたり。
優雅なアフガンハウンドを散歩する市民の方や、踊りや歌の練習をする学生。
近所の保育園の子どもたちはみんなで手をつなぎながらお散歩。
笛の音色や弦楽器の音色が聞こえることもあります。
私もここが大好きです。
左手に中央ローンを見ながらまっすぐ進むと、今度は右手に白い建物が見えてきます。
こちらの洋風の建物は「古河記念講堂」です。
こちらの建物は、かつての総理大臣原敬の助言をもとにして、古河財閥という財閥の出資により1909年(明治42年)に建てられました。
古河財閥のその行動の裏には足尾銅山鉱毒事件が関わっています。
足尾銅山を経営していた古河財閥は事件による社会からの非難をやわらげようと、政府に帝国大学創設費を寄付したそうです。
初めてこの話を聞いた時には、教科書で習った歴史が今とつながった!と驚きました。
建築様式の観点からも重要であるとされており、こちらの建物は国の登録有形文化財として保護されています。
現在も中は研究室や教室として使われており、私もここで授業を受けていたことがあります。
歩くたびにきしむ床、優雅さを感じさせる階段など、中も雰囲気があります。(ただしこちらの中は一般公開はしていません)
中央ローンを左手に、正門からまっすぐ進むと農学部棟が見えてきます。
北大は1876年(明治9年)に設立された札幌農学校を前身とする総合大学です。
札幌農学校とは、アメリカ人のウィリアム・スミス・クラーク博士(Boys be ambitiousで有名な方)が初代教頭をつとめ、内村鑑三や新渡戸稲造が学んだ学校です。
その後改変等により、現在の北海道大学となりました。
そのとき最初に設置されたのがこちらの農学部でした。
北大の数ある学部棟のなかでも、農学部棟はレンガ積みの美しい建物で、建物の中も異国情緒漂う作りとなっています。
ちなみに、写真ではわかりませんがこの時計台は非常に背が高く、どのくらい高いかというと
「初代ウルトラマン」と同じ高さだそう。(40m!)
メインストリート(通称メンスト)は北大を南北に貫く主要な道。
全長1.2㎞もあり、ランニングをする方をよく見かけます。
また授業の合間には、広い構内を次の授業のために自転車で急いで移動する学生で溢れます。
北海道らしい白樺の並木。
私は何気にこの景色がお気に入りです。
北大には池もあります。
こちらは「大野池」です。
かつては牧場の牛馬の飲用水として使われていましたが、どぶ臭い湿地になってしまったという歴史があります。
それが北大工学部の大野和男教授という方の活動で、現在のきれいな姿に戻ったそうです。
池の周囲にはベンチがあり、まったり過ごす人々の姿が見られます。
たくさんの睡蓮の花や水生植物が咲き、マガモをはじめとする水鳥をみることもできます。
冬にはこの池は全面氷結します。
度胸試しに乗りたくもなりますが、乗ってはいけませんよ!笑
大野池から少し北に進むと、有名なイチョウ並木が見えます。
約70本のイチョウが真っすぐに植えられる姿は圧巻です。
秋の紅葉したイチョウ並木も驚くほどきれいなのですが、私は夏のイチョウ並木もお勧めします。
枝いっぱいに鮮やかな葉を茂らせ、北海道の短い夏を思いっきり楽しんでいるように見えるのです。
特に早朝、ここを通ると人影も少なく「今日はいい日になりそう」という気分にさせてくれること間違いありません。
メインストリートの端、一番北には「札幌農学校第2農場」があります。
名前は知っていたのが、実は行ったことがありませんでした。
より緑が濃いこのエリアには、バルーン・フレーム(風船構造)と呼ばれる様式の家畜房や穀物庫などが並びます。
この農場は、クラーク博士の大農経営構想に基づいて開設されました。
開設当時の1870年代後半の日本には、乳牛などを飼育する畜産経営がなかっため、米欧の技術が北海道に適するかを調べること、また模範的な経営を行って北海道に入植してきた人たちに普及する必要がありました。
その歴史が残る場所、また日本最古の洋式農業建築であること、バルーンフレーム様式といった建築学的にも重要な建築物として、重要文化財に指定されています。
この日はトランペットの音がどこからか聞こえてきて、赤い屋根の建物のなかを覗きながらゆっくり散歩をしました。
北大は四季折々の美しさを楽しめる場所です。
春は雪解け水が流れ、植物がゆっくり咲き始めるのを間近で楽しめます。
初夏にはポプラの綿毛がいたるところをふわふわ漂い、風に吹かれて葉っぱがこすれ合う爽やかな音が響きます。
秋はやはり紅葉ですね。きつねもリスもよく会いますよ。
そして冬はただただ静かです。すべてが雪に覆われ、一面真っ白です。
どんな季節に来ても楽しめるはずです!
北大の歴史、あわせて北海道の歴史も知りたい場合には構内に「北海道大学博物館」もあるためゆっくり学ぶこともできますよ。
札幌にお越しの際は、ぜひ一度は北大を歩いてみませんか?
【北海道大学】
〇住所/札幌市北区北8条西5丁目
○HP/https://www.hokudai.ac.jp/
○P/なし
LOCATION
WRITER
女子大学院生ライター。岡山県出身、北海道満喫6年目。春は勢いのある雪解けを楽しんで、夏は麦わら帽子を持ってドライブへ。秋は美味しいものを食べ、冬は雪の綺麗さに見惚れています。